ニオブチタン酸化物を使ったリチウムイオン電池のサンプル販売開始電動化

東芝は、負極にニオブチタン酸化物を使ったリチウムイオン電池「SCiB Nb」を6月から生産し、有償サンプルの販売を開始する。ニオブチタン酸化物を用いたリチウムイオン電池を販売する。

» 2025年06月20日 16時00分 公開
[MONOist]

 東芝は2025年6月4日、負極にニオブチタン酸化物(NTO)を使ったリチウムイオン電池「SCiB Nb」を2025年6月から生産し、有償サンプルの販売を開始すると発表した。NTOを用いたリチウムイオン電池を販売する。同社によれば「世界初」の販売だ。

 同製品は、電気自動車などに用いられている正極にリチウムリン酸鉄を使った炭素系リチウムイオン電池(LFP電池)に匹敵する体積エネルギー密度を持ち、急速充電と長寿命という「SCiB」の特長も兼ね備える。10分間で約80%の充電で可能である。電池容量も長寿命で、実用的な部分急速充電と放電を15000回以上繰り返しても80%以上の容量を維持する。

キャプション 製品仕様[クリックで拡大] 出所:東芝

 カーボンニュートラル社会の促進に向けて、世界中であらゆるモビリティ、動力機器の電動化が進んでおり、それに伴い稼働率向上および利便性の面から急速充電へのニーズが高まっている。同製品は超急速充電を可能とし、バスやトラックなど特定ルートを高稼働で運行する大型商用電気自動車では、ルート内の特定箇所において高い頻度で急速充電することで電池搭載量を抑えられる。

 加えて、寿命が長いため、劣化による電池交換の回数を減少させ、総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)の低減が期待できる。

 また、LFP電池を始めとする炭素系リチウムイオン電池はエネルギー密度は高いが、急速充電の繰り返しにより、金属リチウムが負極で析出して内部短絡が発生するリスクがあり、電池が劣化した場合、発煙・発火を引き起こす可能性がある。一方、同製品に使っている負極材NTOは、「SCiB」の負極材であるチタン酸リチウム(LTO)と同じように、内部短絡の要因となる金属リチウムの析出が原理的に起こらないため、急速充電を繰り返しても長期間安全に使える。

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