リン酸鉄リチウムイオン電池を開発、生産するエリーパワーは、マンションや工場、倉庫、事務所など大型施設に設置する産業用蓄電池の新製品「Power Storager GX」に関する説明会を開催した。
リン酸鉄リチウムイオン電池を開発、生産するエリーパワーは2025年5月23日、マンションや工場、倉庫、事務所など大型施設に設置する産業用蓄電池の新製品「Power Storager GX」に関する説明会を開催した。
同社の従来の産業用蓄電池と比べて高出力と大容量化を進めた他、太陽光発電の入力容量も大幅に増やしている。BCP(事業継続計画)の対策だけでなく、太陽光発電との併設による地産地消やデマンドレスポンスなどさまざまなニーズに応える。
新製品は、重要設備を停止させないための無瞬断バックアップ機能も新たに採用し、UPS(無停電電源装置)としての利用にも対応する。UPSは市場では鉛蓄電池がメインだが、リチウムイオン電池に置き換えることで設置スペースの効率を高められる。UPSの新設や更新を狙って提案していく。
災害などでの停電に備えたり、太陽光発電を有効活用したりする上で不可欠な蓄電池。エリーパワーはリン酸鉄リチウムイオン電池を2010年に製品化し、キャスター付きで移動できる可搬型や、住宅用の蓄電池として展開してきた。
住宅用よりも大容量が要求される産業用蓄電池においては、エリーパワーの製品としては出力容量20kWが最大だった。それより大きなシステムは受注生産で個別に蓄電システムを構築していたが、産業用蓄電池のニーズが急拡大していることを受けて汎用製品となるPower Storager GXを投入する。
リン酸鉄リチウムイオン電池はコストの低さがメリットとして挙がることが多いが、エリーパワー 代表取締役社長の河上清源氏は「リン酸鉄リチウムイオン電池が定置用蓄電池でシェアを伸ばしているのは、安価だからではない。用途やニーズに電池の特性がマッチしているからだ」と説明する。
定置用蓄電池は設置後、長期間にわたって稼働する。大和ハウス工業とエリーパワーが普及に取り組んできた住宅用の蓄電池でも、太陽光パネルとセットで使い続けるには20年以上の寿命が必要だと判断し、長寿命を重視してきた。
リン酸鉄リチウムイオン電池は、三元系のリチウムイオン電池よりも寿命や生涯蓄電容量に優れているため、定置用に向くとされている。長期間使い続けることができれば、途中で買い換えるのに比べてライフサイクル全体でのコストやCO2排出量も抑制できる。
エリーパワーは1万サイクル以上の寿命と電池容量保持率70%を確保し、定置用蓄電池として製品化してきた(1日2サイクルで15〜20年)。
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